Where is the Motivation?
古橋宙征 モチベーションの旅

モチベーションは、「期待を超える喜び」【後編】

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取材日:2015年9月28日

 

インタビュー:
株式会社フォトシンス
代表取締役社長 河瀬航大

 

取材 / 古橋宙征 文 / 片桐暁[Table]

 

 

古橋:大変さが伝わってくるお話です。そこで、テーマであるところのモチベーションなんですが、河瀬さんの原動力となるもの、河瀬さんのモチベーションとはなんでしょうか?

 

R1-9 モチベーションは「期待を超える喜び」

 

河瀬さん:僕にとってのモチベーションというのは、期待をされて、それを越えることです。これは幼いときから一貫しているかもしれません。

 

親が理科の教師で、種子島は小さい島ですから、「河瀬先生の息子」っていう視線でみんなから見られるんですよ。当然、理科もできるだろうと。そんなこともあって、年がら年中マングローブに籠って、理科研究に取り組んで。その結果、東京での表彰式に呼ばれたりするんですが、これは小さな島にとっては大事件なんですね。そうやって、期待されては、それを越えていくことに喜びを感じていました。

 

環境問題も、これに紐づくと思います。「良くしなきゃダメだ」「このままでは持続可能にはならない」と、誰もが思っている。そういう課題が見えている中で、それを解決できたならヒーローだなと思うんです。

 

世の中に課題や期待があって、それを自分自身がどう超えていくか。成功事例をどう重ねていけるか。その辺りに、自分の喜びがあると考えています。IoT業界もまだ確固としていない段階だと思いますから、そこに「Photosynthあり」というかたちで世に問うことができるのは、僕にとって喜びなんです。

 

 

R1-10 「場所を選び」「没頭し」「成功体験を重ねる」

 

古橋:同じように小さい頃から期待をされていても、河瀬さんのように「越えてやろう」という方もいれば、かえってプレッシャーになってしまって萎縮するという方もいると思います。そういった場合、どうしたら人は変われるものでしょうか?

 

河瀬さん:直接は分からないですが…僕の理科研究の場合は、最も好きな分野だったことがよかったなと思っています。。自分は海や生き物が大好きで、好奇心旺盛だったから没頭できたんだと思います。つまり、領域に特化して、集中してやっていく。これが、期待を超えるとか、小さな成功体験だとかに繋がるんだと思います。

 

古橋:いま、「やりたいことが分からない」とか、起業しても伸び悩んでいる方々も大勢いると思います。「まずは没頭できることに集中する」というのが1つのポイントということでしょうか。

 

河瀬さん:そうですね。それでしかないと思います。僕は、基本的にそういうかたちで生きているので。好きな人としか組まないというのは、経営者としてはよくないんですが。なるべく没頭できて、成果を出せて、強みが発揮できる…そういう、人がいない場所にいくんですね。

 

 

R1-11 起業1年、オフの過ごし方

 

古橋:ところで、起業をすると大変な忙しさだと思うんですが、河瀬さんは起業以来、休日は取られているんですか?

 

河瀬さん:サラリーマン時代よりは全然ないですが、意図的に休日は取るようにしています。

 

古橋:休日は、どんな過ごし方を?

 

河瀬さん:なるべく本を読むようにしています。ビジネス書やファイナンス、歴史の本が中心ですね。まだまだ知らないことが多すぎるので、インプットの時間です。もっと深い本を読んだ方がいいかなとは思うんですが…。これはもう、必要に応じてというか、勉強に迫られてというところですね。

 

古橋:お休みといいながらも、実質的にはお仕事の一貫というか…

 

河瀬さん:そうですね(笑)

 

 

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R1-12 Akerunと環境問題を架橋する

 

古橋:冒頭でお伺いした「Akerunで描き出される世界」のお話が、非常に印象的でした。

 

河瀬さん: 実際、自分の鞄の中を見てみると、iPadにMacBookにと、アナログなものがどんどんなくなっていて。ノートもペンも持ち歩かない、本もKindleという状況にも関わらず、鍵だけは、ずっと同じかたちのままなんですよね。自分自身がスマートロック市場に参入してみて、これが変わるのは時間の問題だなと思っています。どうやって変わるかというと、スマートフォンか、生体認証か。

 

両者のうち、生体認証の方は、じわじわ来るものだと思っていて。まずはスマートロックという観点から、スマートフォンがすべての鍵を集約するのではと考えています。Akerunは、そのプラットフォームになりたい。つまり、リアルな権限管理のできるアプリですね。それが先程お話したような、「あらゆる場所への、鍵であり、課金であり、権限付与の体系であり…」という、Akerunの描く世界に繋がります。

 

そして最終的には、物同士だけじゃないこと。例えば環境問題の観点から言えば、人が家に帰ったら、そのタイミングで家の電気がつく、初めて便座があったかくなる、冷蔵庫がキンキンに冷える。家を出たら、不要な機器は切れる。スマートフォン、つまり認証端末が近づいて出入りするだけで、その人に最適な空間をつくられて、それ以外はシャットダウンされる。

 

そういう効率的で快適な世の中が作られれば、非常に面白い世界観だと思います。ここまで来ると、僕のやりたい「環境問題 × IT」、クリーンITに近い領域になってくるのかな。

 

古橋:それは、何年後くらいと予想されますか?

 

河瀬さん:10年後くらいでしょうか。それにはまずプラットフォームを作らないと、ただのガジェットに終わってしまいますから。いま取り組んでいることをまずやりきらないと、そういう面白い絵を描くことはできないですね。

 

古橋:環境問題から始まった河瀬さんのモチベーションの意識が、ITに動いていくのかなと思ったら、環境問題に戻ってきて…お話が、首尾一貫されていますね。

 

河瀬さん:そうですね。IoTに興味を持ったこと自体、「人と人とが繋がる」とか「人とモノが繋がる」という世界観に興味あってのことでしたから。いまも、それを徐々に連携させていきたいと思っていて。Akerunで鍵を開けたら、Pepperくんがお帰りって言ってくれるとか。これはもう実装しているんですね。Yahooが出したmyThingsというプラットフォームがあるんですが、その記者会見で展示させていただきました。

 

つまりIoTというのは、最適化であったり、コミュニケーションであったりするんじゃないかと思うんです。その観点から行くと、「環境」というフィールドにも、確実に刺さるんじゃないかと考えています。

 

 

R1-13 トップのモチベーション、社員のモチベーション

 

古橋:ところで、社内のみなさんのモチベーションに関してはいかがでしょうか?最初は6名で始められたということですが、会社の成長に連れて、志を同じくする人を、次第に集めていくことになってきたと思うんですが。

 

河瀬さん:自分の身の回りで、友達の友達くらいまでは当たってみる、想いを熱く語る…といった方法で、地味に集めてきましたね。いまでも活動の1/3は、採用活動にあてているような状態です。あまり媒体は使っていなくて。ありがたいことに、人を雇うことのできるような出資もありましたので。

 

古橋:先ほど「没頭」という言葉も出ましたが、河瀬さんなりの、モチベーションという言葉の定義とは、どんなものですか?モチベーションというのは、日本語に訳すと「やる気」などになってしまい、本来のニュアンスが消えてしまいますが…

 

河瀬さん:「どこで幸福を感じるか」ということかなと思います。僕の場合、モチベーションの源泉は、期待を越えること。でも、もしお金というところに価値を感じる人であれば、自分が好きではない、どんなに苦しい営業でも頑張れるんじゃないかと思いますし。必ずしも「モチベーション=生き甲斐」ではない。そういう観点で、社員のモチベーションは一定度摺り合わせられるかと思います。

 

古橋:その擦り合わせ方についてですが、何か意識されていることなどありますか? 例えば、自分が熱い想いを語りすぎてしまう…といったこともあるかと思うのですが。

 

河瀬さん:それについてはまだまだこれからで、自分もできていない部分だと思います。幸いにも、会社の方針だとか、どこにモチベーションを感じるかについては、小さい会社というところもあって一貫しているように感じます。社員がいま20名を越えようかというタイミングなので、これから擦り合わせが必要になってくるだろうなと。

 

 

R1-14 モチベーションのマネジメントと、起業のタイミング

 

古橋:最近、学生起業家が増えている印象です。河瀬さんだったら、どんなアドバイスをされますか?

 

河瀬さん:学生の時から起業を経験するのは貴重な経験だとは思うのですが、僕は、一回社会に出てから、起業する方がメリットが大きいのではと思っています。自分も実際にビジネスを構築する中で、対人コミュニケーションであるとか、組織や会社がどういったものであるとかを、一定度分かっていないといけないなと感じましたので。

 

トップを走り続けていたら、部下の気持ちを理解するチャンスは一回もありません。そういう点で限界があります。例えば、ITだけとか、メディアだけで完結する場合には問題ないかもしれません。でもB to Bの法人向けのサービスとか、営業が一定数必要なビジネスモデルであれば、中途半端な会社は一旦閉じて、会社に入った方がいいんじゃないか。やるならやるで、徹底的にやるか、期間を決めて会社の中で頑張る。あくまで個人的な意見ですが。

 

自分が会社に入って感じる、「会社に対しての不満」というのも必要かなと思うんですね。1年目というのは、どのみち、会社や組織に対して不満を言う側です。それを「自分ならどう変えていけるか」という課題感に変えて、新しくマネージした方がいいんじゃないかな。

 

古橋:モチベーションの生み出し方って、案外そういうことかもしれないですね。モチベーションが低い人というのは、興味関心が薄い、何ものにも没頭していない。興味関心が強い人や、強く何かに没頭している状態を、モチベーションが低いとは言わないですし。

 

河瀬さん:それは間違いないと思います。その方向軸がお互いに合っていれば、もう完璧でしょう。僕も、「そこに儲かる事以上の喜びがある」「描きたい世界がある」ということを感じて、ビジネスを始めたわけですから。

 

古橋:リクルーティングに関しても、社会の期待値が高いプロダクトを作れば、来る人たちもモチベーションが高いはずだという理屈になりますよね。

 

河瀬さん:そうですね。ですからPhotosynthでは、いまはみんなが一つの方向を向いています。それをこれからいかに大きくしていくかについては、僕の勉強課題ですね。

 

 

株式会社フォトシンス (Photosynth Inc.)
http://photosynth.co.jp/

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